会社を骨太にし、業績を上げていく大原則は、自ら捌けなくなったボリュームの仕事を、社員を雇用して代わりにやってもうことである。そうすることで、今まで現場に翻弄されていた時間を重要な判断、決断、方向性、戦略、発展計画などに費やすことであるが、それが実際に現場を手放しで出来るようになるためには、社員の育成が必要である。
このレベルになると、必ずと言っていいほど経営者の頭の中で何度も浮上してくるのは「会社を大きくするにはどうすればいいのか?」や「大きな会社は小さい規模からどうやって大きくしていったのか?」であり、「どうやって自社を今の状態から大きくするにはどうすればいいのか…」で、思考は止まっている経営者が実に多い。
成長にはレベル(段階)がある
成長を望んだ瞬間から、そこには成長のレベルがあることを認識することで、解決の糸口は見つかる。そのレベルは、現在から目的地を定め、現在地から目的地へ向かって成長曲線を引くことで大まかな形は出来る。思考停止状態の経営者は、これに気づくことは出来ない。全てに於いてこのレベルが存在するが、事業を考えても同じである。その成長曲線をどのタイミングや地点でキャプチャー(捉える)するか、チェックポイントが必要になってくる。このチェックポイントがないと成長しているのか、してないのかが分からず打つ手が見えなくなってしまうのである。
これを会社レベルで考える時、最初に必要となるのは、会社の経営理念やビジョンが目的地であり、そのベースが「何の為に事業をするのか」であり、「どのような価値創造をし、社会への貢献をしていくのか」である。(詳細はこちらの記事を合わせて読まれることをお勧めする)
しかし、「どのように成長させていけばいいのか」という問いに対して、その先が考えられない場合の多くは、経営理念やビジョンなどがない場合が多い。
これは何故かと言うと、会社の成長と理念やビジョンの捉え方は全くと言っていいほど同じだからである。どういうことかと言うと、現在地から目的地に進むにつれてそこには現在と目的地の間にギャップが生じるのである。成長を考えた場合も同じである。そのギャップをどのように埋めていき、目的地へ辿り着くか。別の言い方をするのであれば、現時点が小学1年生、目的地が小学6年生とするならば、どのようなカリキュラムをこなしていけば小学6年生レベルになれるかを組む必要があるのである。それぞれのレベルにあった達成条件が必要であり、それらをクリアーしていくことで、着実に「成長している」と分かるのである。
会社の成長と社員の成長は比例する
会社が成長しようとするとき、社員も成長しなければよりボリュームをこなす業務や高度なレベルの業務を消化できない。消化不良となり、必ずどこかにシワ寄せがくる。このシワ寄せという小さな問題はやがて積もり積もって大きな問題となり、臨界点を越えると急に爆発する厄介な問題であるが、それも社員の成長が必要となる要因であり、レベルが上がれば発生する問題もレベルが上がってくる。
これは会社が成長すれば社員の成長も自ずと必要となることを意味し、そこに価値が出始める。
しっかりした成長土台を作る
勘の良い経営者は全て勘でこなしてしまう傾向にあるが、そうした場合、経営者が現場に翻弄される結果となることは冒頭でお話しているが、会社の成長を考えた場合に社長自ら現場を社員に任せる必要がある。それをしないといつまでも社長の貴重な決断や判断、思考に使う時間は作り出せず、将来への成長を考える暇もないことになる。
そこで必要になってくることは、「どのようにしたら、今まで自らやっている仕事を社員が出来るようになるか」を考え始め、その場合にどのように育成・教育していけばいいのか、を考え始める。しかし、「どのようにすればいいのかが分からない」と言うのが本当の話ではないだろうか。
例えば、現在の年商が1億であれば年商10億、年商10億であれば100億の企業に成長したとき、年商10億ないし100億の企業の「在り方」を考えると分かりやすい。社員の対応、社員の言葉使い、社員の服装、顧客への対応、挨拶、仕事ぶり、社員それぞれの目標や目的、社員に求めるレベル、どのような新入社員を採用するのか、顧客層はどう変化したかなど…連想することで、現在とのギャップが分かり、そこからどのような準備や仕組、人財育成や人財開発、教育や訓練が必要か、が分かり始める。
このように少しずつ成長土台を作ることとは、会社の成長するための基本である理念やビジョンという目的地をしっかりと決め、現在から目的地へ向かうチェックポイントを設けるようなブループリント(青写真)がなければ、会社の成長や社員の成長は全く望めないのである。
いわゆる経営者の想念の言語化である。また、その逆は無いのも事実である。
経営者の想念の言語化が握る成長のカギ
人財育成及び人財開発の最重要項目として挙げられるのは、経営者の「心の中の思いや考え方」である。その想いは、「感覚的には分かっているけど、どう伝えればいいか分からない」と答える経営者が実に多い。また、その多くの方は「会社をどのようにしていき、どのくらいまで続けるのか」など、自分と向き合って真剣に検討することの重要性に気づいていないのである。
「想像できないものは、形にすら出来ない」
これは前回のコラムで書いた話だが、想像することはある意味テーマを与えて脳を刺激するということである。
社長の出来ることを社員が出来るようにするには、社長が普段どんな感覚で、どんな物の見方をし、どんな事を考えているか、社員がこれから成長し社長がやってきたことをのどの部分を出来るようになってもらいたいか、を決めリスト化する必要がある。
そのリスト化するまでの工程がしっかり出来ていないと、年商10億を目指すのか1000億を目指すのかと言うように、全く違うブループリント(青写真、設計図)が出来上がることになるため、ポイントを抑えながらその目的地に沿った言語化とブループリントを作るための材料を経営者から引き出して組み立てていくのが弊社の強みであり、そこから出来きたリストを基に、一つずつどのような想いなのかをしっかりと言語化し、伝えられる内容で書き、その内容を更に目線を下げて事例を交えてかみ砕き誰でも分かる内容に仕上げていくのである。
実際に成長企業の経営者は、教え方が上手く、伝える力がズバ抜けているのと同時にテーマを与えるのがとてもうまい。これは人間の特性を上手く掴んでいる証拠である。その特性とは、あるテーマを与えると、そのテーマに関連することを探し出そうとするのである。例えば、ロレックスの時計が気になった場合、周りにどのくらいロレックスの時計をしているかと探しはじめ、あまりにもロレックスの時計をしている人が周りにいることに気が付く様なものである。
またそうした経営者は人の成長を楽しんでいるのであるが、これから成長するためのカギは、実はここにかかっていることを知っているのである。
想像すること
下記、明確に詳細までイメージ出来なければ形にすら出来ない。
貴社は、何年先まで事業を続けるのか?
貴社は、成長したいのか?
貴社は、どのくらいまで成長したいのか?
貴社は、いつからブループリントを作り始めるのか?
あなたはいつ、本気になるのか?
これを機会に、しっかりと考え、「会社の未来図」の専用ノートに書いていってみて欲しい。
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